1. 「Wixでとりあえず作る」ことの増加と、その背景
最近、「とりあえずWixでホームページを作ってみました」という声をよく耳にします。
確かにWixは、テンプレートを選んで文章と写真を入れるだけで、手軽に見栄えのいいページが作れます。費用も安く済むため、起業や事業立ち上げのタイミングで選ばれる方が多い印象です。
ただ、私はWeb制作を仕事にしている立場として、安易なWix活用には慎重であってほしいと日々感じています。
なぜなら、あとから「困った」「やっぱりちゃんと作りたい」と相談に来られる方の多くが、最初にWixで作っていた方だからです。
2. Wixは本当に“手軽で安くて最適”なのか?
Wixのメリットは確かにあります。
- サーバー不要ですぐ始められる
- デザインテンプレートが豊富
- 料金も数千円から始められる
ですが、その手軽さの裏には見えにくい“限界”や“負担”も存在しています。
- デザインの自由度が低く、思った通りに作れない
- テキストの位置を直すだけで崩れてしまう
- モバイル表示が想像以上におかしい
- SEOやページ構成の柔軟性に限界がある
- 管理画面の仕組みが独特で、修正を頼みたいのに制作業者に断られる
つまり、「プロに任せるほどでもない」と思っていたのに、気づいたら誰にも頼めなくなっている。これがWixでよくあるパターンです。
3. 実際に困って相談に来られる方のケース
私の元に来られるご相談の中には、
- 「Wixでサイトを作ってみたけど、デザインや構成を見直したい」
- 「レンタカー業の新規事業で、Wixサイトをリニューアルしたい」
といったものがありました。
ですが、実際の内容を聞いてみると、
- 実質はフルリニューアル(=構成・導線・見た目を全部作り直すレベル)
- だけど「Wixのままで」と希望される(=カスタマイズ自由度は非常に低い)
- さらに「いくらですか?パックでできますか?」と聞かれる(=要件も決まっていない)
こうなると、どうにもできず、無理に制約内で対応しようとしても、本来のご要望が叶えられないというケースが少なくありません。
結果的にお互いにとってよい形にならず、せっかくのご相談にも関わらず、お断りせざるを得ないこともあります。
4. 私がWix制作を基本的にお受けしていない理由
そのため私は、Wixサイトに関しては、「既存デザインに沿った軽微な修正や更新」の範囲であれば対応可能な場合もありますが、
構成を大きく変更するような全体改修やリニューアルについては、基本的に対応しておりません。
Wixでのリニューアルをご希望いただくケースでは、
「どうしてもWixの仕組みでは実現が難しいご要望」をいただくことが多く、制作の立場としても、無理にその制約の中で対応しようとすると、
本来叶えたいことがうまく形にできず、かえってご期待に沿えなくなってしまうことがあります。
そのため、そうした場合には無理にWixで進めるのではなく、ご要望の実現性が高い仕組み(たとえばWordPressなど)での再構築をご提案することが多いです。
5. じゃあ、どんな人にどんなサイトづくりがおすすめか?
もしあなたが、
- 今はとにかく名刺代わりに1ページほしい
- 自分で全部更新したい
- お金はあまりかけられない
という場合には、Wixは合っているかもしれません。
でももし、
- お店や事業の信頼感を伝えたい
- 長く使える土台をしっかり整えたい
- スマホでも綺麗に見せたい
- 将来、予約やブログ機能などを追加したい
そんな方には、最初からWordPressなどでしっかり構築するほうが、結果的にコストも時間も無駄が少ないことが多いです。
Wixサイトのご相談について
ここまでお読みいただき、「Wixは頼んではいけないのかな…」と感じられた方がいらっしゃるかもしれません。
けれど、実はそうではありません。
- 既存ページの文言変更や画像の差し替え
- 表示崩れの調整
- デザインに沿った範囲での小さな更新
といった“今あるものをベースにした軽微な修正”であれば、内容に応じて対応可能な場合もございます。
このコラムでお伝えしたかったのは、
「Wixの構造上どうしても無理が出てしまう、大規模な作り直し(リニューアル)には対応していない」という線引きです。
ですので、「ここだけ直したいんですが…」というご相談も、お気軽にお寄せくださいね。
終わりに
「とりあえずWixで作ったけど、やっぱりちゃんと整えたい」
そんなふうに感じたときには、どうぞご相談ください。
Wixでの運用が難しいと判断した場合には、無理に制作をおすすめすることはありません。
あなたの今の状況と、これからの展開を見据えた上で、無理のない・でもきちんとしたサイトづくりを一緒に考えられたらと思っています。
※今後、実際にWixからWordPressへリニューアルした際の事例や、WordPressを選ぶ際の「既製テーマとオリジナル構築の違い」についても記事を公開予定です。
よりよいサイトづくりの判断材料として、お役に立てれば幸いです。